複数の受託者を持つ家族信託のメリットとリスク

家族信託は、資産を家族に託して管理や処分を任せることができる制度です。では、家族信託の受託者を複数人にすることは可能なのでしょうか。今回は、家族信託の受託者を複数にする場合のメリットやデメリットについて解説します。

家族信託の受託者を増やすことはできる

家族信託の受託者は複数人にすることが可能です。受託者とは、資産を管理する立場の人のことを指し、委託者は受託者に財産を託します。例えば、高齢になった父が委託者となり、その子どもたちを受託者にして財産を管理や処分してもらうという仕組みです。信託行為で利益が発生した場合、その利益は受益者に受け取る権利が発生します。

受託者を複数人にすることで起こるリスク

受託者を複数人にする場合、いくつかのリスクがあります。

  • 信託口口座の作成ができない:受託者が複数人いると、信託用の口座は作成できないため、受託者の個人口座を信託用に使う必要があります。
  • 意見が分かれると困る:信託の管理や運用を行う場合、受託者の過半数が賛成していなければ処理することができません。受託者が2名の場合、互いの意見が対立すると信託の運用が円滑に進まなくなります。

法的取り扱いも変化するので注意

受託者が複数いる場合、法的な取り扱いも変わります。信託財産は保存行為の場合、それぞれ受託者が単独で決めることができますが、財産を処分する場合は、受託者全員の協力や合意が必要になります。

受託者が複数のメリット

受託者が複数いる場合のメリットもあります。負担が分散されるため、精神的な苦痛は少なくなります。また、複数人いることで、財産を管理しているかお互いを監督することができ、何か困ったことがあった場合は、複数人で話し合うことができます。

まとめ

家族信託の受託者を複数人にすることは可能ですが、その際にはリスクや法的な取り扱いの変化に注意が必要です。受託者が複数いる場合のメリットもありますが、家族関係によってトラブルが予想される場合は、受託者を複数にする必要があるかどうかを慎重に検討することが重要です。家族信託は、受託者が一人、複数、または信託を複数に分けるなど、さまざまな方法を取ることができます。家族にとって最適な方法を見つけるために、家族で話し合ってみてください。